アラビアンナイトの世界

日本で最も有名なイスラム文学のひとつと言えば、千夜一夜物語があげられます。 英語ではアラビアンナイトとも訳され、世界中の様々な国で翻訳されているほど有名な本です。日本でも知られている「アラジンのランプ」や「船乗りシンドバッドの冒険」「アリババと40人の盗賊」などもこの千夜一夜物語に含まれています。


千夜一夜物語は複数存在する

民間に伝わる昔話などを集めた説話物語集のため、実際にいつごろ成立したものかは明らかになっていません。原典は印刷された本ではなく写本として残っており、伝わった国によってシリア写本、トルコ写本、エジプト写本などと呼ばれています。しかしいずれも1001夜全てをカバーするものではなかったため、常に完全な姿の写本探しが行われていました。 歴史の中で様々な地域に伝わり、またそのどれもが完全な姿ではなかったことから、派生形や偽本などが増え続け、現在刊行されている本についてもどこからの派生であるかによって、内容が少しずつ異なっています。


千夜一夜物語はポルノ?

さてこの千夜一夜物語、イスラムを代表する文学にも関わらず2010年にエジプトの弁護士団体が、出版者の逮捕と同書の押収を当局に要請するという事件が起こり、国際社会の間で波紋が広がりました。 理由はあまりに性的表現が多く、反イスラム的であるということ。

もともとこの話は王女が王様に読み聞かせる夜伽話として展開していきます。 妻に裏切られ、女性不信から毎晩のごとく新妻を娶り殺してしまう王シャフリヤールに対し、それを止めさせるために妻の1人シャハラザートが夜伽話を聞かせ、気を紛らわせようとします。シャフリヤールは妻の話に夢中になりますが、話が佳境に入ったところで「続きはまた明日」となってしまうため、王はじりじりとしながらまた次の夜を待つことになるのです。

シャハラザートの語る話のバリエーションは悲劇や喜劇、寓話、史話など様々ですが、勇ましい冒険譚や叙事詩に混ざって、世俗的で官能的な話も多く含まれています。 例えば、宴のさなかに一糸まとわぬ姿になった女主人を、狂ったように追いかける男の話。美しい王女の体の中の、さらに秘密の場所に隠された赤い宝石の話。妖艶な美女と官能的な恋に陥る商人の話。入浴中の王女の姿をのぞこうとする男の話などなど。 こうしたことから一部にはこの千夜一夜物語をイスラムの教義にそぐわない、ポルノ的なものであると一蹴する人までいるほどなのです。


サイトコンテンツ

Copyright(c) 誰も知らないイスラム世界~閉ざされた性の秘密~ All Rights Reserved.