イスラム社会のハーレム

現代の日本語でも使われているハーレムという言葉。複数の女性の中に1人の男性がいる様を表したものですが、実はイスラム社会の中で生まれた「ハレム」という制度がその語源となっています。


秘密の場所

イスラム社会は伝統的に性的な倫理観に厳しく、家族や夫婦以外の男女がむやみに接触することを嫌います。女性が外出する際にはチャドルと呼ばれる黒いマントを頭からかぶったり、顔を隠したりするのもそのためです。

たとえ家の中であっても来客があった時は、女性は会話や接触を避けるために部屋から出てくることはなく、男性がもてなすのが通例です。イスラム女性は貞操を固く守るべきという意識が強いため、女性たちの居住するこの部屋に男性の部外者が立ち入ることは許されておらず、また女性もこの部屋から出てくることはありません。

この妻と子供たちが居住している部屋のことを「ハレム」と呼び「禁じられた場所」という意味のアラビア語が語源となっています。夫でも家族でもない男性の出入りを「禁じている」という意味であり、男女の無闇な接触は、性的倫理の逸脱になるとする考え方に基づいています。
日本語では「男の夢」などという枕詞とあわせて使われることも多く、なにかと淫らなイメージもつきまとうこの言葉。しかしその語源をたどっていくと、元々は女性の貞操を固く守るための部屋だったのです。


一般庶民のハーレム

とはいえこのハレムという部屋は、一般庶民や農民、遊牧民といった下層階級の人々の家の中で見かけることはほとんどありません。

こうした人々が住む家は何部屋もあるような大規模なものではなく、1つの家の中に1つの部屋という構造になっていることも少なくないのが実際のところ。また農民や遊牧民などは男女ともに屋内外で働くことから、厳密に性別で区切ることが合理的ではないという事情もあります。

そのためこうした家庭に訪問者があった場合には、外のテントや離れか、カーテンなどで区切った部屋に案内されることが多く、やはり男性がそのもてなしを行います。中東などで現地の家庭に呼ばれる機会があっても「奥様にも挨拶を…」とは言わないのがムスリム(イスラム教徒)たちのルールなのです。


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